第84回 お困りごとがあっても、お困りごとになっても
36年前、出産を機に花粉症は完治していた。で、この時期になると、くしゃみを連発する訪問者たちを、他人事のようにすずやかな顔で見ていた。が、60歳を超えた頃から、花粉症は「私の困りごと」の一つに加わった。採血すると「スギ」「ダニ」「ハウスダスト」にアレルギー反応が出た。
ワンコがいるので床に物はない。きれい好きなヘルパーさんたちとルンバのお働きで、部屋は清潔に保たれている。家にいると症状は少ない。ありがたいことだ。
が、1日の大半をワンコとテレビのおもりが日課になりつつあることを知ってか知らずか、ドクター。「今回は心電図も採血も異常なし。花粉に負けずに」とアレルギーの薬を処方する。「いらんのに…」ぶー垂れる患者の扱いもお手のもので「粋な計らいやろ。ここでも体操やら栄養指導もやってる。これだけ元気になったんやから、車いす押してもらっておいで。なんでも真似事でいいんよ。けど、なんでここまで良くなったん?」確かにドクターから見せられた数年前の心電図とはまるで別人のよう。
「名前合ってます?」とぼけて問う私に「君、相変わらずおもろいな。で、なんでなん?
「そりゃー仕事辞めて、犬みて笑ってたらこうなりますわ」
「えっ犬飼ってるの。大変やろうに…犬が!」してやったりドクター。
「でも、心臓には手足をバタバタするのがいいからね。せいぜい犬に動かしてもらってください」「はい」診察室を出ようと立つ私に「あと、掃除機のゴミは誰かに頼んで取ってもらえないの」「えっ」「あの瞬間が何かと吸い込みやすい。君、ばらまいてないかと思って」
「あっ」口を開ける私に「話はまだある。そんなに急ぎな」「さっさようなら」おじぎをする私を、ドクターの後ろで見ていた看護師がくすくす笑う。「ぼちぼち薬もかえたほうがいいと思う。弛緩剤も導眠剤もしゃーないけど副作用が…ひとりで住んでたら物忘れという副作用が出ていてもわかりにくい。出ていても気にしなそうやし」「はい」元気に右手を挙げる。
「それが困る」椅子を少し引くドクターに「周りがねー」へルパーさんがぼそり。「いつからそこにおったん?」私は後ろを振り返る。
「君には・・・大事な人がたくさんいそうやね」ドクターは微笑む。
はい、そのことだけは忘れません!
歳を重ねるごとにお困りごとは増えていく。
それと共に「みんなのお困りごとになっても」お許しいただこう。
本日もみなさんに感謝 (∞◍>υ<◍)。♢♡